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アンシェーゼ皇家物語: 1 仮初め寵妃のプライド

本の情報

あらすじ・主な登場人物

ヴィアの父はアンシェーゼの現皇帝ではない。母親が無理やり側妃とされた際に一緒に連れてこられ、養女(第四皇女)となったのだ。それから十数年が経ち、母と弟のセルティスとひっそり後宮の片隅で暮らしてきたが、母親が亡くなって五年。血のつながらない養父に母親譲りの美貌に目を付けられ始める。
いつか市井に降りるという願いを元にヴィアが助けを求めたのは第一皇子のアレク。期間限定の愛妾契約を持ち掛けたヴィアだが、これまで誰からも与えられなかった庇護とぬくもりを与えてくれるアレクに、次第に惹かれ始める。

しかし、つかぬ間の平穏の内、母親の因縁と後継者争いに巻き込まれるふたりは――

感想

小説家になろう」でもまだweb版が公開されていますが、小説版でかなり加筆されている印象です。小説版は「アンシェーゼ皇家物語」として3巻まで刊行されていて、アレクとヴィアを主眼にした物語は1巻です。

年間1000冊以上のヒストリカルロマンやら令嬢系物語を読んでいると、美妃や可愛いの定義ももはやインフレを起こしているのだが、どういう訳だか、これまで読んできた中でも歴代の美人は誰だっただろう……と思い起こしてパッと浮かんだのが、このヴィアだった。
開けっ広げな言動をしてもどこか上品。母親譲りの容姿も武器に、自ら人生を切り開く気概と矜持に溢れた16歳の少女に、21歳の第一皇子アレクが割とすぐにしっかり嵌っていくのだが、有無を言わせぬ説得力がある。展開次第では、このキャラクターは傾国の美女になる。
美麗なイラスト効果も大いにある。正直、最初の購入動機はイラストレーター買いである。

義理の兄妹というだけではなく、前提の関係性としてはかなり複雑なものがあるが、展開自体はどろっどろの皇宮簒奪劇ではない。ふたりが前世代のしがらみをどう乗り越えるかというところが見どころ。

 


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