ツボを刺激するヒーローに幸あれ
あらすじ・主な登場人物
弟を庇ったことがきっかけで皇族の不興を買い、サラの婚約者ハインは戦場で亡くなった。残されたサラは、彼の弟マクシムと名ばかりの婚約関係を結び、十年以上が経った。皇位争いに勝った新皇帝オルウェイが妃を迎えた折に、サラは侍女として都に呼ばれ、マクシムと再会する。彼は皇位簒奪の立役者であり、大量の粛清を行った側近として恐れられていた。
年月がいくら経ってもハインを失った痛みは消えないままで、距離を縮められないふたり。そのうえマクシムは護衛対象の王妃に惹かれているようだった。サラはマクシムが過去の柵から解放されて幸せを掴むことを願うが――
感想
ストーリー展開を把握する、という観点では、続刊の仮面の心を奪うのはを読まないと理解できない部分がある。
の上で、端的に羅列すると
- マクシムというキャラクターが萌えの塊
- 無表情/冷酷でない面が途中からどんどん出てきて堪らない
- サラの母性で包んで一生よしよししてあげてほしい
あまりにマクシムが好きになりすぎて、続刊のヒーローに心を惹かれなかったため、ストーリー全容把握はどうでもよくなり、結果、続刊を読むまでに半年以上かかった。(とはいえ結局読んだし、読んでみればこちらのカップルもどうぞ末永くお幸せにではあった)
喪われた人は決して還らないし、痛みが消えるわけではない。でも、弟と婚約者の幸せを願って最後まで生きた兄の選択を、罰のように抱えていくのではあまりにも切ない。どうかこの先もこのふたりが、幸せを幸せとして拾って生きていける人生を送れますように、と願う。
本の情報
- 作者:水上涼子
- イラスト:天路ゆうつづ
- 出版:ジュリアンパブリッシング/ロイヤルキス (2021/7/30)