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せっせと餌付けする令息と素直に餌付けされる令嬢の幸せな執着劇※ややネタバレ感想

あらすじ・主な登場人物

男爵令嬢のジーナは、三度の飯より甘いもの好きな"平均よりなややぽっちゃり令嬢"。家族仲もよく幸せな日々を送っていた。ところが、王立学園に入学して早々に、2学年上の侯爵家令息・アルトゥールに一目惚れされてしまう。

その日からアルトゥールの怒涛の付き纏いに合うジーナだが、毎日甘いものを差し出し、幸せそうにジーナを見守る彼に絆され、交際を開始する。ところがある日、学校行事で歌劇を見に行ったジーナは観劇中に気絶してしまい――

感想※ややネタバレ

ややネタバレだが、書評のあらすじで転生ストーリーって書いてあるからいいか……転生である。
所謂異世界転生ではなく、ジーナの前世は同じ国の数百年前に実在したとされている人物だった。アルトゥールはジーナと出会う前からすでに前世の記憶を持っており、すぐに気づくが、ジーナは気づいていない。

人格も見た目も何もかもが違う生まれ変わりで、相手に惹かれる、というシチュエーションには、ある種の説得力が欲しいのだが、アルトゥールがジーナに惚れた最初の理由は「美味しいものを食べるときの幸せそうな顔」。シンプルに欲求に忠実で、強い。

最初はアルトゥールの執着ぶりに怖さも感じるジーナだが、基本的にジーナは家族に愛されて素直に育ち、自己肯定感も程よい令嬢である。体型をほんの少し気にしていても全く卑屈にはならない。毎日アルトゥールが貢ぐお菓子もせっせと味わい、また幸せな笑顔を浮かべる。そして素直に絆されてくれる。それは貢ぎ甲斐もあるというものだろう。

並行して描かれる絶世の美女・エレオノーラとジーナは、表面的な一部分で見ると全くの対極にあるし、かなり重たい展開も待っている。だが、人生は長い。ふたりで生きて、美味しいものを食べられればきっと大丈夫。物語が進むにつれ、徐々にふたりの姿が重なってくる。読後感が爽やかで良かった。

本の情報

  • 作者:クレイン
  • イラスト:すずくらはる
  • 出版:メディアソフト/ガブリエラブックス (2020/2/28)

 


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